システム建築
システム建築では、建築の際に使用する材料の寸法や形、組み合わせなどがあらかじめ決まっていて、統一化されています。
そのため、建築の営業から設計、工場での材料製作から実際の施工までのすべてを、すべて標準化された一連の流れの中で行なうことが出来るようになっています。
すべて標準化されているということは、決まった商品があるということになります。今までのように、図面を起こして材料を決めていったりするのではなく、パンフレット等に商品が並んでいて、建築主はその中から自分の必要に応じた商品を選択するということになります。
このことで、技術者や職人といった専門の技術を身に付けた人がいなくても建築が出来るようになり、しかも省力化されているため、早く安くできるというメリットが生まれました。
実際にシステム建築で建築を行なう場合の流れとしては、まずどんなものを建てたいのかを決めるところから始めます。工場や店舗、事務所などのことです。それが決まったら、その建築物が鉄骨なのか、重量鉄骨なのかといったような、種別を決めます。
あとは、それをもとにどれくらいの大きさの建築物がたてられるのか等を考えながら、商品を選択、決定し、建築のプロセスを決定・確認したのち、施工するという流れになります。
標準化された計画や設計
またシステム建築は、長年にわたる建築のデータベースをもとに、標準化された計画や設計を行なっています。ですから、多くの情報をもとに合理的で経済的な設計が可能になっています。
そのため、低コストの上短期間で建築が出来ても、決して手を抜いているわけではなく、信頼できる情報をもとに緻密に計算された方法を用いているので、安心しても大丈夫です。
さらに、建築材料はできるだけのものを、工場で集中的に生産していますので、高品質ながらも低コストということが実現できています。
実際の建築現場で加工したり制作したりする建築材料が最小限にとどめられていますので、職人でなくてもできます。
もちろん、こういった設計から建築材料の準備、施工手順から実際の施工技術までは、コンピュータによって徹底的に管理されています。
実際に目に見える部分はとても簡単そうに見えますが、最も安全で高品質かつ効率的な生産体制となるよう、計算されつくされている建築方法となっているのです。
そのため、システム建築では高品質の商品を短い期間でしかも低コストということが実現できているというわけです。
現代の建築様式
フランク・ロイド・ライト氏は、フランスで活躍した建築家のル・コルビュジエやドイツ出身の建築家ミース・ファン・デル・ローエとともに、近代建築の三大巨匠と呼ばれています。
1867年に生まれ、1959年に92歳で生涯を閉じるまで、有機的建築という建築に対して一貫して取り組んできました。
フランク・ロイド・ライト氏自身の言葉によれば、有機的建築とは、「外からあてがわれた形態に合わせて造られるようなものではなく、その建築が必要とするすべての要素が調和し、内から外へと発展していく建築」のことをいいます。
つまり簡単にいうなら、自然と調和した形と精神を建築で表現するというものです。有機的建築では、建築は有機体であるとし、自然を建築のモデルと捉え、自然と共存していこうという考え方に基づいています。
この自然との共存という考え方は、もともとの日本の建築に対する考えや日本人の文化と非常に重なっている部分が多く、事実フランク・ロイド・ライト氏は、日本でも有名な建築物を設計しました。
建築における環境
建築における環境とは、敷地の形状や風の向き、光の方向、近隣の建築物との位置関係や高低差、さらには街全体の印象や地域の風習にまで及びます。さらに、その建築物に住む人の性格や家族も、建築の環境に含まれます。
つまり、太陽や月、星などの自然の光は自然のままに、そして建築物の周りを吹き抜ける自然の風は自然のままに取り入れた空間を創り出し、かつ機能的に生活できるような住まいを建築するということです。
フランク・ロイド・ライト氏の有名な有機的建築を実現した代表的建築物に、落水荘があります。
これはエドガー・カウフマンの別荘として建築されたもので、滝の真上に建てられ、滝の岩の一部が建物の一部となるように設計されている、まさに自然を生かした建築物となっています。
滝を眺める家ではなく、滝と一体感を感じられるよう滝の真上に建てられたということは、非常に斬新で、衝撃的な建築物でした。
またデザインだけでなく、滝との一体感を得られるということは、安らぎを感じられ、心地よい空間を作り出すことが出来ています。
このことは、落水荘の住人がいかに気持ちよく過ごせるかという点についても配慮されているということでもあり、機能的面も考えられている家となっています。